スポーツジムの利用は医療費控除の対象になるってホント?
医療費控除は税金を減額できる制度です。ある条件を満たすとスポーツジムを利用する際の費用に医療費控除が活用できるということを知っていますか?この控除が使えると、スポーツジムに通う際の経済的負担も少なくできます。今回の記事では、医療費控除の説明と、スポーツジムを利用する際に、制度を活用するためのポイントを解説します。
医療費控除とは
医療費控除は、自分や家族の医療費が1年間に10万円を超えたときに税金を少なくできる制度で、計算式は次のとおりです。1年間に支払った医療費の総額–保険金などで補填される金額–10万円、もしくは総所得金額の5%。この控除の対象となる医療費は次のようなものです。病院での治療費、医師が処方した薬・もしくは市販の薬の費用、通院・入院にかかる交通費、鍼灸師・柔道整復師による治療費、認定された運動施設の利用料、などです。
この控除の申請は次のような流れです。医療にかかった費用の通知や領収書が控除の対象になるか確認する、確定申告書と控除の明細書を作成して税務署に提出する、控除で戻ってくる還付金を確認する。この制度を活用することで、節税できるので経済的負担を少なくできます。普段、医療にかかっている費用が控除の対象になるようであれば、ぜひ活用したい制度ですね。
医療費控除を受けられる条件とは
ある認定を受けたスポーツジムなどの運動施設を利用した時の費用に対して、控除が適用となることがあります。認定を受けた運動施設の種類は主に2つあり、それぞれの特徴を解説します。
まず、指定運動療法施設です。この施設は運動療法を行うことに適しているとして厚生労働省から認定されています。認定のための条件は次の通りです。エアロビクスや筋力トレーニング等の運動を安全に実施できる設備がある、体力を測定したり・運動のプログラムを提供したりするための設備がある、生活指導のための設備がある、健康運動指導士などの運動を指導できる職種を配置している、病院などの機関と提携がある、です。
もう一つが温泉利用型健康増進施設です。この施設は、温泉を使用した健康促進のための設備が整っているとして厚生労働省から認定されています。認定のための条件は次の通りです。エアロビクスや筋力トレーニングが安全に行える設備がある、準備運動ができる設備がある、体力を測定したり・運動のプログラムを提供するための設備がある、温泉療法に詳しい医師のいる病院などの機関と提携がある、温泉を利用した入浴設備があること、です。
各施設ともに認定のための条件は似ていますが、運動療法か温泉療法に重きをおいている施設という部分に違いがあります。これらの施設では、医師の処方にもとづいたサービスを受けることができます。指定運動療法施設では、主に健康運動指導士からの指導をもらいながら、設備を使用した運動療法を行います。また、温泉利用型健康増進施設では温泉利用指導者が入浴指導や生活指導を行います。
この認定された施設における利用料について、控除を利用するための流れは次の通りです。かかりつけの医師に相談し、運動の処方箋を出してもらいます。その後、対象の施設に処方箋を持っていって、申し込みをします。これで施設を利用した運動療法を行うことができます。控除の対象として、週に1回以上で8週間以上の運動療法を行うことと決められています。
そのため、運動の期間と頻度をメモなどで記録に残しておくことがおすすめです。運動後に領収書と実施証明書を受け取ります。確定申告の時に、税務署で利用料金の領収書と実施証明書を提出して、所得税の申告を行います。このように認定施設を利用する際には、適切な対応をすることで利用料への控除が適用され、経済的負担を減らすことができますね。
スポーツジムに医療費控除が適用されるのは今後身近になる?
以上のように、スポーツジムの利用料に控除が適用されることはとてもいいことですよね。しかし、実際のところこの制度があまり活用されていません。その理由の一つとして、認定施設が少ないことが挙げられます。認定施設が少ない理由は、運動指導ができる職種の配置をすることや、医療機関と連携することといった、認定条件のハードルが高いことが挙げられます。また、施設があっても自分の住んでいるところから遠ければ、制度を活用する利点が少なくなってしまいますね。
こういった理由から、制度について医師から説明を受ける機会も少なくなっています。しかし、運動不足が一つの原因とされる生活習慣病の患者は約1780万人いるとされているため、その予防や治療のために運動療法をすることはとても大事です。
ですから、今後、スポーツジムといった運動施設の利用をしやすくすることが必要になります。現在、国は認定施設の基準を緩めることを検討しており、今後は控除の対象となる認定施設は増えていくことが予想されます。また、医師の運動療法処方に関する診療報酬が引き上げられることが検討されています。今後は医師から運動療法の処方が増えて、制度を活用できる機会が増えてくることが予想されます。
まとめ
生活習慣病の予防のために、運動施設を活用した運動療法を行うことはとても大事です。その際にかかる費用については控除の対象になることもあります。国の今後の方針も踏まえて、これらの制度を賢く利用していくといいでしょう。